虫展でハラノムシに出会う

虫展に行ってきました

伊丹市立ミュージアムで開催している“虫展”に行ってきました。(2024年9月29日まで開催)

主に江戸時代の作品が多かったのですが、昔の日本の生活の中の“虫”たちを描いた美術品が展示されていまして、人々が時に可愛がり、時に恐れた虫たちの姿が生き生きと表現されていました。

写実的なものもあるのですが、結構ユーモラスな漫画っぽいものも多くありまして、
擬人化されて絵巻物みたいになっているものなどは十二単を来た玉虫姫に色んな虫たちが求婚する…というストーリー仕立てで、見ていてくすっとなるような、面白いものがたくさんありました。

私の家は古い団地なので、時々、家の隅っこに5~8mmくらいの消しゴムの削りカスみたいな黒い虫が出ます。
調べてみたところ“紙魚”と書いて“しみ”と読むらしいのですが、これも写本に記されていてびっくりしました。

しかも、3億年もの間、姿を変えずに存在し続けているらしく…、
いつも気持ち悪がって潰してたけど、あいつ凄い奴やったんやな…。
と思わず感心してしまいました。

虫展で出会った“ハラノムシ”

そんな虫展のチラシがこちら。

何だか、妙な生き物が描かれてますよね。

これは実在する虫ではなくて、戦国時代の医学書「針聞書(はりききがき)」に描かれている架空の“ムシ”です。

年に6回めぐってくる庚申の夜に人の体から抜け出して、その人の欲望の数々を閻魔大王に告げ口して地獄へ落そうとするとのこと。

昔の人はこんな感じで“ムシ”が人にとりつくから体に悪いことが起こると考えていたようで、
この他にもいくつかの同様のムシ達が虫展では紹介されていました。

私は非常に興味を持ったので、おもわず売店で「戦国時代のハラノムシ 『針聞書』のゆかいな病魔たち」(長野仁・東昇 編/国書刊行会)という本を買ってしまいました。

この本にはフルカラーで63匹ものハラノムシが紹介されていて、それぞれの特徴や治療法なども書かれています。

ヘビ状のにょろっとしたものや、瓦のようなかたち、ナマコのようなもの、袋状みたいなもの…、
よくこんなに思いつくなぁ…と感心させられます。

昔の人が病魔という得体の知れないものに向き合おうとあらゆる智恵を振り絞ったことが、
これほどのバラエティー豊かなハラノムシを生み出したということではないでしょうか。

そんな昔の人のイマジネーションにちょっとでもあやかれたらとハラノムシの本を読み進めております。

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